相続のポイント
遺産相続が発生したら、一体誰が、どれだけの遺産を相続するのでしょう。
相続人各自にそれぞれの言い分があることでしょう。
そのため、誰かが自分の主張だけを通そうとすると、
話し合いがこじれ、無用な遺産争いが何年間も続いてしまったりします。
でも、故人はそれを望んでいるのでしょうか?
自分が亡くなったことをきっかけに、身内同士が争いあうことを決して望んではいないはずです。
遺産分割を円満に解決するためのポイントは、まずお互いに譲り合いの精神を持つことです。
そして決して感情的にはならずに、法律のルールに則って行うことが大切になります。
「子供らに限って争うことはない」という断言は出来ません。その思いは子供らを他人に変えます。
遺言書の作り方
遺言(普通方式)
自分の人生で築き上げた財産を、自分の死後、誰にどのように分けるかについては、遺言で自由に決めておくことができますが、次に説明するような法律に定められた形式でしっかりと遺言をしておかないと、せっかく遺言書を書いてもあなたが決めたとおりにならないおそれがありますので、遺言は慎重に作成する必要があります。
法律上定められている普通方式の遺言には、3種類ありますが、それぞれ長所・短所がありますので、どのような方式にするかは十分ご検討ください。
簡単に遺言書を作りたい場合は?
遺言の全文、日付、氏名を自分で全て手書きして、押印することにより作成する形式の自筆証書遺言がいちばん簡単に作れます。
作り方 | ①遺言をしたいと思う本人が、遺言書の全部を自らが筆記し、それに日付や名前を書きこみ押印する。※( ワードプロッセッサーで印字したものは駄目です。録音したものも駄目です。) ②内容を変更したり訂正したりしたい場合には、変更箇所にその旨の記載をして署名、押印する。 ③遺言書が複数発見されると、原則的には日付の一番新しいものに効力があると考えられます。 |
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メリット | ①証人の必要がない。 ②遺言を秘密にできる。 ③費用がかからない。 |
デメリット | ①紛失、偽造の危険性がある。 ②方式不備による無効の可能性が生じる事がある。 ③死後、遺言が発見されない場合がある。 ④検認手続きが必要。 |
自筆証書遺言のポイント
長所
◆一人でいつでもどこでも作成できること
◆内容が秘密にできること
◆費用がかからない事などです
短所
◆方式の不備で遺言が無効になってしまう可能性があること
◆偽造・変造等のおそれがあること
◆見つけた人が自分に不利な場合破ってしまうおそれがあること
◆せっかく作成しても死後、遺言書が発見されないおそれがあること
◆家庭裁判所で遺言書を開封する検認という手続が必要であること
安全確実な遺言書を作成しておきたい場合は?
安全確実な遺言をしておきたい場合には、公証人役場にいる公証人に作成してもらう形式の公正証書遺言を利用するべきです。
作り方 | ①証人2名の立会いのもと、遺言者が口述し、公証人が筆記する。 |
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メリット | ①遺言者の意思が正確に反映され、形式不備のおそれがない。 ②原本が公証人役場に原則20年間保管されるので紛失・偽造のおそれがない。 ③検認手続きが不要 ④他の相続人に連絡せずに秘密裏に遺言執行が出来る |
デメリット | ①証人2名が必要 ②秘密にできない。 ③費用がかかる。 ④手続きが煩雑。 ⑤撤回したい場合は、新たに遺言を作成する必要がある。 |
公正証書遺言のポイント
長所
◆公証人が作成してくれるので遺言者の意思が正確に反映されること
◆形式等も正確で偽造・変造のおそれがないこと
◆原本が公証人役場に原則として20年間保管されるので遺言書滅失のおそれがないこと
◆署名のできない人でも、公証人がその事由を付記し、署名に代えることにより遺言書を作成できること
短所
◆2名の証人が必要であるため遺言を秘密にできないこと
◆遺言書作成に費用がかかること
◆遺言書作成の手続きが煩雑であること
遺言を秘密にしたいけど、自筆証書遺言では心配な場合は?
封をした遺言を公証人に提出しておく秘密証書遺言を利用するべきです。
具体的には、署名・捺印した遺言書を封入し、遺言書に用いたのと同じ印鑑で封印した上で、公証人1名及び証人2名以上の前に封書を提出して、自分の遺言である旨とその筆者の氏名・住所を述べます。そして、公証人は、遺言書が提出された日付と遺言者が述べたことを封紙に記載した後、遺言者及び証人とともに封紙に署名・捺印することにより遺言書を作成します。
作り方 | ①遺言書に署名。押印をし、それと同じ印章で遺言書を封印する。 ②封書を公証人1人と証人2名以上の前に提出。 ③自分の遺言であること等を申述する。 ④遺言者、証人、公証人が、封書に署名、捺印する。 |
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メリット | ①遺言の存在を明確にできる。 ②内容を秘密にできる。 |
デメリット | ①証人2名が必要。 ②費用がかかる。 ③手続きが煩雑。 ④検認手続きが必要。 |
秘密証書遺言のポイント
長所
◆内容を秘密にしつつ
◆遺言の存在を確実にできます。
短所
◆遺言書作成に費用がかかること、
◆遺言書作成の手続きが煩雑であること
◆署名のできない者はこの遺言書を利用できないこと
※なお、遺言には以上のような3種類の普通方式のほかに、たとえば重大事故に遭って死亡する直前といった危急時等に利用される特別方式もあります。